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「いい匂いです」
薫も自分の食事をテーブルの上に置き、そのそばに座る。
「いただきます」
「いただきます」
この部屋で誰かと食べるのは初めてで、薫は何だかむず痒い変な気分になった。
ヴィーゼルは前足でサンドイッチを掴み、ハグハグとかぶりつく。そして、ふと止まって薫を見た。
「これ、おいしいです」
「……そうか」
少し赤く染まった頬をヴィーゼルに隠しながら、薫もご飯を食べ始めた。
「そうだ。俺はこれから仕事だが、ヴィーゼルはどうするんだ?」
「ほふふぁひょひょっふぉふぉふぃ」
ヴィーゼルはサンドイッチをくわえたまま喋る。
「それを飲み込んでから話せ」
「……ボクはちょっと外に出ます。シュテルン石を探さなければならないので」
「そういえば、シュテルン石ってどうやって探すんだ?」
昨日、シュテルン石のことを聞いた時には、その話をしていなかった。
「シュテルン石が特殊なエネルギーを吸い込むということは話しましたね?」
「ああ、それが溜まると実体化するって」
「まっさらなシュテルン石を探すことは困難ですが、エネルギーを吸い込んだシュテルン石は探知することが出来ます。ただ、その範囲がかなり狭い。エネルギーを溜め込めば溜め込むほど範囲は広がりますが、それでも、数キロといったところです。そして、そこまでエネルギーを溜め込めば、すぐにでも実体化します」
「つまり、実体化する前に回収するのは難しいってことか」
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