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声を荒げながら、カオルは周りを見回す。
「あそこか」
カオルの見る先には、ステッキがあった。植物の根元に落ちている。
カオルはハサミを構えると、植物に向かって走り出した。
新たな触手が、カオルに伸ばされる。カオルはそれを、ハサミで切ってくぐり抜けた。
次々繰り出される触手も、カオルはバッサバッサと切り捨てる。地面にはボトボトと切られた触手が落ち、シュワシュワと泡になって消えた。地面には濡れた痕跡だけが残る。
植物との間を詰め、距離を半分まで縮めた時、一段と太い触手が襲って来た。
カオルはそれをヒラリと飛んでかわし、襲って来た触手の上に乗る。この触手は細い触手と比べ、粘液の量が少ない。
これなら走れる!
カオルはそう判断すると、触手の上を植物に向かって走った。なおもカオルを襲ってくる触手を、ハサミで切って突破する。
そして、空中にうねり上がる触手の上に立ち、カオルは植物を真上から見下ろした。
「邪魔なんだよ!」
そう叫びながら、カオルは植物の頭上から、根元に飛び込んだ。落ちる勢いのまま、両手で大きく開いたハサミで、触手を根元から切る。ウニョウニョと伸びていた他の触手も、根元から切っていった。
「よし、すっきりしたな」
カオルは全ての触手を切り落とした。
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