彼のそば

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不意に気になった。 松下は一体、佐野美優に何を言われたんだろう。 てっきり、梨絵奈とのことだとばかり思い込んでいたけれど、違うのだろうか。 まさか、自分達のことがバレたなんてことは―――。 その時、以前、緒川に言われた言葉がフラッシュバックした。 『おれ、訊かれたんだよね、中沢さんに。 遠野くんと涼って、どれくらい仲いいの? って』 全身の血液がざわめいた。 まさか、そんなこと―――。 結局、緒川と森宮が自分達のクラスに戻ったのは、本鈴が鳴り始めてからだった。 昼休み中に松下に何を言われたのか訊くことはできなかった。 心が落ち着かないまま5時間目の授業を受けた幸成は、休み時間になると、すぐに松下の席に行った。 自分の考えすぎだとは思うものの、万が一にも、という不安で、鼓動がいくらか速くなっていた。
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