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松下の、何かが違う。
松下の態度は、以前と少しも変わらないのに、小さな引っ掛かりを感じる。
どことは言えないけれど。
気のせい?
思い過ごし?
結局、その日は、自分が神経質になっているだけかもしれないとやり過ごした。
でも、翌日も、やはりそうだった。
松下と話していると、違和感を感じずにはいられない。
どうしてなのかがやっとわかったのは、昼休みだった。
昨日と同じように松下と教室で昼食をとっていると、手付かずのサンドイッチをひときれ、松下に取られてしまった。
自分に向けられた松下の笑顔を見たその瞬間、幸成の胸にすとんと何かが落ちた。
違和感の正体―――。
それは、松下の眼差しだった。
優し過ぎる眼差しだった。
これまで見たことがないような。
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