彼のそば

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うわべだけは楽しそうにうまくやって、でも、肝心な心はオブラートにくるまれて、触れ合えない。 ふたりの間で分け合った秘密も、それらから目を逸らし、湖のような記憶の底に沈め、すべてをなかったことにする。 自分達が友達に戻るとはそういうこと。 幸成はようやく理解した。 松下と自分の間に確かにあった想い。 もう、それを思い出してはいけない。 覚えていてもいけない。 自分達が友達に戻るためには、そうしなければならないのだ。
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