第1章

10/10
前へ
/10ページ
次へ
「においフェチ」 世の中には、においフェチの女性がいる。 「一日中働いて汗だくになった彼のにおいを嗅ぐのが好き」 「臭くても彼のにおいだから気にならない」 などと言っているが、そもそも汗が何故におうかというと、それは、汗自体がにおうんじゃなくて、汗の中にいる雑菌が繁殖することによってにおいが発生するんだということを聞いたことがある。 そう言われてみれば、確かに、夏場の風呂上りは汗をかいてもにおわないから、その通りなんだろう。 となると、においフェチの女性が好んで嗅いでいるのは、大好きな彼のにおいではなく、雑菌のにおいだという事になる。 となると、この女性は、においフェチではなく雑菌フェチだと言えなくもない。 においフェチだと単なるフェチの一種にしか過ぎないが、雑菌フェチともなるとちょっとした科学者のようでもあり、名も無いさびれた大学の助教授くらいになら、何かの手違いで就任できそうな勢いすら生まれてくる。 まあ、雑菌フェチだと言葉の響きは悪くなるかもしれませんが、もし、においフェチの方がいらっしゃいましたら、一度ご検討されてみてはいかがでしょうか。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加