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「あれれ? なおちゃんに限って、まさか未経験なんてことないよねぇ?」
めざとくため息を聞きつけると、やけに語尾を上げて嬉しそうに近づいてきたあゆみ。
私はそんな彼女に軽く苛立ちを覚えて、唸り声を上げた。
「……がるるるる」
「おお! こわっ」
大げさに飛びのいて、あゆみがみさの後ろへと避難した。
はぁ……。
なんで私だけ……。
しかもこのメンツの中で、ただ一人の処女なんてレアすぎる。
「やだ、あゆみちゃんったら! 大きな声でなおちゃんが処女だなんて! 本人が気にしてることいっちゃダメよ!」
あゆこが、教室中に聞こえるような声をあげて、高らかに私の処女を宣言した。
ニヤニヤと私の顔を覗きこむみさとゆっこの隣で、あゆこがまさにご近所のおばさんポーズを決める。
「ああ、あ、あんたの声のが、でかいわぁっ!!」
思わず突っ込みの声に力がこもったものの、教室にいたほぼ全員が、一斉に私を振り返った。
「うそ……井上が処女とか、ギャップありすぎだろ」
「あのなおちゃんが? なおちゃんってプレイガールで有名じゃ?」
まてまて。
プレイガールとは何事だ!
冷や汗のような、よくわからない水分が、体中からぶわっと湧き出したかと思うと、空気を察したみさが立ち上がった。
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