死んだ。

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現実に、起こるんだ。 思ったのはそんなことだ。 私は舞風 出鶴、享年十四歳と三ヶ月と二十四日。ごめんなさい嘘言った。そんな詳しく数えているわけがない。 恐らくついさっき死んだ女だ。 死んだ時のことはよく覚えている。 交差点で信号待ちしていたらランドセル背負った女の子が飛び出して。 私の隣にいた友達が「危ない!」ってこれまた飛び出しやがって。 いやいや何やってるのミイラ取りがミイラになるなんて私が思う隙もなくトラックが来て。 友達が飛び散って。 女の子は下半身が飛び散って。 真っ赤に装飾されたトラックを見て昔は赤といえばとある宗教の教祖の生誕の日だったんだよねと現実逃避していたら。 胸が急に痛み出し、人生終了した。 ちょっと三十秒でいいから考えさせてほしい。 何で女の子は飛び出したのか。 急いでたの?赤信号だったんですが。 何で友達はミイラ取りはミイラしてるのか。 そんな性格じゃなかったよね?優しいやつだけれど、無謀なやつではなかった。 助けられるような状況じゃないことがわかる奴の筈。 何で飛び出した? 残された私はどうすればいいのか。 いやどうすればも何もその前に死んだけど。ブラックアウトする視界とともに人生も場外アウト食らったが。 そう、そこもだ。 何で私は死んでるのか。 胸が痛くなって、って言っても哀切的な感じで痛くなった訳じゃなくて、物理的に痛かった。 心筋梗塞とか? まあ、人生短かったけど、苦しまずに死ねてまだよかった。優どころか良でないけれど、可ではある死に方だ。 あんなはちゃめちゃな人生歩んでたらロクな死に方しないだろって思っていたし。 やり残したことはたくさん、たくさんあったけど。 それで、だ。 「なんで私はこんなところにいるの?」
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