《魂の記憶》

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この子とは、こんな会い方するな… まあ、この前は校長の家だし、小さな町に一軒だけ有るコンビニで会っても、別に不思議じゃないか。 「先生は、何を買いに来たんですか?」 「キャットフード」 「何でキャットフード?」 「シロのご飯」 「猫飼ってるんですか?」 「町猫だって。池から付いて来たんだ」 「ああ、その子知ってる」 この子、笑顔がキラキラしてるな。 あ、もう外は真っ暗だ。 どうもこの子と居ると、時間を忘れてしまうようだ。 「送って行くから待ってろ」 「えっ?」 「もう遅いから、1人で帰すわけいかないだろ」 僕は、急いでキャットフードを買って、香とコンビニを出た。 【下町】 階段を上がる時は、男は少し後からだ。 下りる時は、先を歩く。 女の子と一緒の時はね。 意外だわ。 凄く気遣ってくれてるのがわかる。 響先生って、こういう人なんだ… 【中町の畑】 「うわー、星が掴めそうだぞ」 「ウフフ」 「おかしいか?」 「だって、このぐらいでそんなに感激するんだもん」 「そんなに変かな?まあ、地元の子は見慣れてるからな」 やっぱり、子供みたいな人ね。 【上町】 「この奥に、お城が有るんだよな?」 「有りますよ」 「明日行ってみようかな」 「フフフ」 「あ、また笑ったな」 「だって、少年みたいな顔するから」 響先生と一緒に居ると楽しい。 ああ、もうすぐ着いちゃう。 お爺ちゃんの家が、もっと遠ければ良いのに。 【朝風校長宅】 「じゃあな、早く寝るんだぞ」 「えー?小学生じゃないんだから」 「そうか、ま、まあ、良いか。じゃあ月曜日な」
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