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「僕が辞めれば済む事なのに、璃子まで辞めなくたって…」
「良いの、良いの。響にだけ責任取らせられないわよ。だいたい何の責任よ。やましい事なんて何にも無いのに」
「まあな、璃子と僕がどうにかなるわけが無い」
「失礼ね。まあ良いわ。私達に仮に何か有ったとしても、お互い独身なんだし、問題無いと思うんだけど」
「職場恋愛禁止だってさ。恋愛なんてしてないのにな」
「私は…」
「うん?」
「次の学校探さなきゃ」
「そうだな」
【電車の中】
次の赴任先が決まった。
で…何故か璃子も一緒。
何やら嫌ーな予感がするけど…
まっ、気のせいか。
丁度教員の空きが2つ有ったらしい。
「私もそこにする!」って、ついて来た。
「次の駅よ」
その、次の駅が遠くて中々着かない。
随分遠くへ来てしまったな。
ああ、これじゃあ伊藤恵さんの演奏会当分行けそうにない。
【奥山町駅】
電車を降りると…
うわ~
まるで時代が違うような風景が、そこには広がっていた。
東京育ちの僕には憧れの田舎だ。
空の色も、空気も、肌に感じる風も、全てが新鮮だった。
「駅の近くには、温泉旅館も有るのよー」
って、嬉しそうに言ってるけど、遊びに来たんじゃないんだぞ。
「早くおいでよー」
「待て待て、どっちに行くんだよ」
「だから温泉よ」
「温泉に行ってどうするんだよ」
「だって、まだ時間有るし。早く!」
【温泉】
璃子に言われるまま温泉に来ちゃったぞ。
まあ、ここまで来たら入るしかないか。
〈男湯から中に入ると…〉
「何でお前が居るんだよ?」
「ちょっと、前ぐらい隠しなさいよね」
「うわっ」
混浴か…
「そばに来ないでよ」
「わかったよ」
「見ないでよね」
「誰が見るか」
さて、そろそろ学校に行かないと。
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