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「ねえ、この辺に銀色のペンみたいなの、
落ちてなかった?」
放課後。教室にいたら彼から尋ねられた。
「ううん。知らない」
「・・・・・・そう」
ちょっと淋しそうに笑う彼。
・・・・・・でも私は知ってる。
これが、3478436回目の同じ会話だってこと。
そしてまた同じようで微妙に違う、一ヶ月を繰り返し、
3478437回目の同じ会話をするんだってことも。
「もし見つけたら、教えて?」
「うん」
がっくりと肩を落とし、彼は帰っていった。
・・・・・・ごめん。
私の手の中には、銀色のペンのようなもの。
コレを彼に返せば、
この繰り返される時間はたぶん終わるのだろう。
けど。そうすれば彼はきっと、私の前から消える。
だから私は、
私のわがままのために時間を停滞させ続ける。
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