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入学式に満開だった桜の花はすっかり散ってしまって、暖かい陽射しを放っていた春の空から蒸し暑い夏の空に近づいてきたある日のことだった。
「俺と付き合って」
私、早川桃子(はやかわももこ)は告白された。
相手は入学してからずっと悪い噂しか聞いたことがない、安西翔(あんざいかける)先輩だ。
放課後、下駄箱で革靴に履き替えようとした時、先輩に『ちょっと一緒に来て』と声をかけられた。
先輩の後ろを歩いて、着いた先は人気のない空き教室。
安西先輩は、一つ年上で二年生。
髪の毛は金色に染めていて、制服は着崩して、首に髪の毛と同じ色をした太めのネックレス………。
先輩は、見た目通りヤンキーだ。
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