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『……お前のようなやつに、ここのセキュリティを破られるとはな』
真正面を向いたまま、全てのカメラがシャットダウンしたせいで真っ黒になったモニターを見つめながら、男は侵入者の女にそう告げた。
もはや捨て台詞であることは重々承知の上だが、言わずにはいられなかった。
『中々、歯ごたえはあったよ。ゲームセンターのシューティングゲームくらいにはな。まあ、あとはお前だけだ』
女は皮肉で答え、拳銃の撃鉄を降ろした。
『ま、待て! 頼む……。命だけは』
ガチャリというある種聞きなれた音に、男は事態を見ずして把握し、それゆえに狼狽する。
『言い残す言葉はそれで良いのか?』
対して彼女は、躊躇うことはなかった。
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