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ざっと語られた話はこうだ。
先輩は、料理なんてものは生まれてこの方したことがなくて、冷蔵庫の使用方法は、飲み物を冷やすことと氷を作ることの二つ。
だから最初はもっと小さな冷蔵庫を買う予定だったのだが、小型の物より安くするからと勧められ、れ歳くるショップでこの冷蔵庫を購入したらしい。
中古品同士なら、普通、大きい方が高いのは当たり前だろう。それをわざわざ小型より安くするって…何か裏があるとしか思えない。この冷蔵庫、とんでもないいわくつきとかじゃないだろうな。
それを先輩に訴える前に、もう一度だけ…と、冷凍庫を開き、俺は絶句して固まった。
冷凍庫の中は、再び食材で埋め尽くされていたのだ。
ぎっしりと大量の肉。その積み重なりの奥の方に目玉が見えた。
形や大きさから、魚じゃないことはすぐに判った。ぎょろりとこちらを見据えてきた様子から、この世のものじゃないことも判った。。
すぐさま冷凍庫を閉め、俺は、隣で水を飲む先輩にこう言った。
「先輩。これ、ヤバい品です。明日にもこの冷蔵庫、買い替えましょう」
冷蔵庫…完
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