セミスイート・チョコレート

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「チョコレート、か……それって多分、これの味かな?」 トウヤはそう言うと手探りで、背後にある自分の机から何かを持ち上げる。 そしてトウヤの顔が少し離れて、目の前に四角い板チョコが現れた。 「これ、は……?」 「さっき少しだけ食べたチョコの残りだよ、結構美味しいんだこれ」 成程、あの味の正体はまんまチョコレートだったのか。 「んで、こっちはハルトの」 そう言ってトウヤは、机の上からもう一つ何かを持ち上げた。 それは小さな箱で、トウヤは俺にその箱を手渡してジッと見つめてくる。 「開けていいのか?」 俺がそう聞くとトウヤは小さく頷き、「うん、開けてみて」と言い微笑んだ。 俺はトウヤに頷き返し、手に握っていた小さな箱を開く。 中に入っていたのは幾つかの小さな、少しだけ形の悪い、手作り感丸出しのチョコレートだった。 「なんで、チョコレート?」 「決まってるじゃん、バレンタインデーだからだよ。今日は好きな人へ、想いと一緒にチョコレートを渡す日でしょう?」
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