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「突然、ごめんなさいね。私は10年後のあなたなの。ロト7の当選、おめでとう。」
なんの毒気もなさそうなその笑顔に、
本当にこの人は私なのか?と、疑ってしまう。
たかだか10年で、人間こんなに丸くなるもんだろうか?
「…ありがとうございます。」
なるべく言葉少なに
それだけ答える。
「あら、ごめんなさい。そんなに警戒しないで?
私はあなたに、お礼を言いに来ただけなの。」
「お礼…?」
「あなたがロト7を当ててくれたおかげで、私の人生は大きく変わったわ。
こんな幸せな毎日を送れているのは、あなたのおかげなの。本当にありがとう。
夫の研究チームの費用を援助してあげたことで、彼らはこうしてタイムリープの方法を見つけることもできた。
ただ、タイムリープに関しては国家機密だから、一般には公表されていないの。もっと言うと、今、私がタイムリープを勝手に使ってることも、誰も知らないわ。
バレたら殺されるんじゃないかしら?
だから私は、今回こうしてあなたに会いに来たこと、死ぬまで黙ってるつもりよ。」
私にもそうするように、と
釘を刺しているのだろうか?
「うふふ。タイムリープの方法が見つかったら、1番に、10年前の私にお礼を言いに行こうって決めてたの。本当にありがとう。」
「お礼が言いたかった」って…
殺されるかもしれないリスクを背負ってまで??
お金があるってだけで
人間、ここまで人格が変わるもんなのか?
だとしたら、すごいな。
やっぱ
世の中、金じゃん。
性格まで金で買えるなら
あと、買えないものって何なんだろう?
「あ、それから、1つだけいいこと教えておいてあげる。
サプリ販売で有名なM社はご存知?」
「M社??CMとかで見たことあるけど…」
確か北海道にある自社農場が売りのサプリ会社だっけ?
「M社がこの時代から8年後の2023年、延命のサプリを発表するの。
それによって人間の平均寿命は、男性が120才、女性が130才にまで延びるのよ。」
「えっ!?」
130才!?
「高額なサプリにも関わらず、世界中がこぞって買いあさったわ。生産が追いつかないくらい。
私のいる2025年では、サプリ業界はM社の独占市場。
今はまだ、しがない中流企業のはずだけど、10年後には日本有数の大企業になっているのよ。」
「すご…!」
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