本章

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「そうね…。話すとちょっと長くなるんだけど…。 20年後の未来では、タイムリープに関して色んなことが解明されててね。 タイムリープって、あなたが考えてるほど単純なものじゃないの。」 「…どういうこと?」 「メールでも言ってたでしょ? 人間の技術は、あと五年もすれば、過去にメールを送れるくらいの進化は遂げてるの。 でも、過去に接触することは禁止されている。 なぜか? 私みたいに、過去を自分の都合のいいように変えようとするヤツが出てくるから? 普通はそう思うわよね、私もそう思ってた。 でもね、それよりももっと大きな問題があるの。」 「大きな、問題…?」 「そう、説明が難しいんだけど…。 まず、あなたがもともと生きていたのは、Aという世界だと仮定するわよ?あなたはずっと『A世界』で生きてきたの。『A世界』における時の流れを表す線を『時間軸A』と呼んでるんだけど、あなたはずっと『時間軸A』の上をたどって生きてたのね。あなただけじゃない。世界はみんな『時間軸A』をたどって生きてきた。 本来、世界が1つしかないように、時間軸もこの世に1本だけしかあってはならないものだから。 でも…」 彼女がポケットからスマホを取り出し、こちらに向けた。
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