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『ここは、ドミネイターズにおいて、主に戦闘の際に用いられる空間です』
声は続ける。
『まずは、その戦闘の基本について実践してみましょう』
声の説明を聞いているうちに、出所のわからない声の不気味さよりも、
新たな展開に対する好奇心がまさってきた。
戦闘、これほど期待に胸躍る言葉はないだろう。
『ドミネイターズにおける戦闘は、あなた自身が行動することによって成り立っています』
『敵に向かって攻撃をしてみましょう。
あなたの手で殴りつけてみてください』
5メートルくらい先につり革につかまる、真っ白なマネキンがあらわれる。
マネキンの頭上には10センチ弱の、三角形の赤いアイコンが浮かんでいる。
あれを殴りつければいいのだろうか。
数歩近づいて、拳を振りかぶる。
「ふんッ」
バコッ!
確かな手応え。
一瞬、青色のエフェクトが走る。
それほど派手ではないが、確かにダメージを与えたことを感じさせる。
「すっげぇ!」
声は続ける。
『戦闘はこの様にリアルタイムで、行われます。
ターン制ではないので注意してください』
『実際には、ナイフや銃などの多彩な武器が、あなたの戦闘をよりダイナミックなものにするでしょう』
自分の手で殴っただけでこの快感だ。
最初はただの偶然ではあったが、今ではすっかり夢中になってしまっている。
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