床に存在する理由

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 …追い…詰めたぜぇ…。  …どこの教室?…知った…こっちゃねえ。  …息が…切れた…。  走ったから、じゃねえ。  興奮! したんだ。  まだ、おさまらねえ。  深呼吸だ。  平静を装う。  コノミも、覚悟を決めた、のか…。  少し顔がこわばったような、いや、平静を装っているのか、引きつっている、口元が。  …興奮、するぜ。 「…わっ!…わたしが、男だとよく見破ったね…」  叫ぶように言葉を吐き出すのかと思ったが、コノミは、平静を保ったのか。  オレはもう、十分に落ち着いた。 「…ああ、オレのコノミだからな…」 「…えっ…」  カバンがコノミの手から離れ、『パタン』と音をたて落ちた。  コノミが軽く、戸惑いの顔を見せる。  思った通りの、オレのコノミだ。 「…名前、教えてくれないか…」  …オレは…オレの好みのこいつの名前を、はじめて知った。image=496984537.jpg
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