初恋

3/16
76人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「ほら、起きなさい!!いつまで寝てるの!」 高校一年の秋、俺はいつもどおりの母親の怒鳴り声で目が覚めた 「うるせーなぁ・・もう少し寝かせろよ」 「は?あんた、さっきから そればっかりじゃない。いい加減にしないと蹴り飛ばすわよ」 う・・・ うちの母親は強い。 並みの母ちゃんじゃない。 世の中の思春期の男子の多くは反抗期を経験するだろうけど、我が家ではそんなものは許されなかった 美術の教師であるうちの母親は一見大人しそうに見えるけど、空手の黒帯を所持する武道母だ。 下手に手を出すと、血を見る事となる 「おにーたん、起きなさい」 そう言って、俺の足元にしがみついている天使は俺の一回り下の妹 母親の再婚相手との間にできた子供だ 俺の両親は俺が5歳の時に離婚して、俺と姉ちゃんは母親に引き取られた で、母親はいい年して俺が小6の時に新しい父さんと出来ちゃった結婚をして今に至る 「菜々に言われると起きないわけにはいかないなぁ~」 俺はこの妹が可愛くて仕方ない 女は基本嫌いだけど この子は天使だ 他の女みたいに計算しないし、裏切らない 純粋に俺に向かってきてくれる 菜々を抱き上げながら時計を見ると 時計は8時をさしていた 「げ。マジで遅刻じゃん!」 俺は慌てて支度をして家を出た
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!