第一章 未必の故意

25/159
前へ
/295ページ
次へ
 そういえば、あのときは小雨になっていたとは言っても、かなり雨で濡れていたはず。  足を滑らせたら終わりなのに、あんなに早く工事を再開するものだろうか。 「現場の人は何か言ってた?」 「はあ。だいじょうぶかー? って」  壱子は今度はその建設会社関連のパソコンに侵入を試みたようだ。  まだ、後ろは騒いでいた。  志免はつい振り返り、 「そろそろ、止めた方が」 と言った。 「まだ大丈夫よ」  振り向きもせず、壱子は言う。 「あの、壱子さんは、何処で忠興さんと知り合ったんですか?」 「里美の組織と接触してたときにね。ちょうど忠興さんも出入りしてて、出会ったの。目立つしね、あの人」
/295ページ

最初のコメントを投稿しよう!

592人が本棚に入れています
本棚に追加