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滅多に会えない忠興を追い返され―
というか、自分で帰ったのだが、加奈は拗ねていた。
椅子の下で、ぷらぷら足を揺らし、机にぺったりと顔を寄せている。
「あー、ひまひま」
「所長、仕事はあるでしょ?」
残務整理とか、という壱子に、だってさーあ、といじけて見せる。
「忠興さんはもう日本を出られるんでしょう?
だったら、とりあえずは問題はない気がしますね」
とプリントアウトしたものを見ながら壱子は言う。
「そんなのわかんないわ。例えば、同じ組織の誰かとかだったら」
「それはないですね。プロなら忠興さんの腕を知っているはずです。
今、特にそっちの方でトラブルはないようですし、迂闊にあの人に手を出しゃしないでしょう。
トラブルがないというのは、不本意ですが、今、真田に確かめたので間違いないと思います」
なに? と加奈は手をついたまま、顔を上げる。
「真田まだそんなことに首突っ込んでんの?」
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