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「あらそう。まあ調べといてあげるけど?」
そっけなく言って、里美は電話を切った。
誰だ? と珍しく家に居た聡が顔を上げる。
「忠興よ」
ソファから振り返っていた聡は一瞬、目をしばたいた。
「あいつ、帰ってたのか」
里美はソファに近づくと、背もたれに腰掛ける。
「もちろん、加奈のところに寄ったんでしょうね」
聡は手にしていた本を膝に置き、渋い顔をした。
「忠興か。
まあ、加奈の相手としては悪くはないが―」
少し面白くなさそうだが、そんなことを言う聡に、あら、と里美は意外な顔をする。
「あんなヤクザ崩れの男なのに?」
「あいつはいずれまともになるよ。頭のいい男だし。なにより、加奈にベタ惚れだ」
そういう意味では誰より条件を満たしているといっていい。
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