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「え?」
「あの袴田忠興を殺そうとしたにしては、やることがしょぼ過ぎます。
まあ、他にも何かあったようですが―
鉄骨の一件だって、せいぜい、側に居た志免くんが犠牲になるくらいのものです」
「あのー、壱子さん?」
遠慮がちに一人がけの椅子に座り、応接セットでワープロを打っていた志免が振り返る。
「言っときますけど、僕が助けたんですよ? 忠興さん」
「忠興さんが気づかなかったのは、相手に殺気がなかったからじゃないかと思うんです」
「ただの脅しってこと?」
「まあ。死んでもいいけど、死ななくてもいいか、くらいの」
たまたま鉄骨がいい位置にいっちゃったんじゃないですか? と素っ気無く言う壱子に、
「また、たまたまいい位置にいっちゃったらどうすんのよ~っ」
と加奈がわめく。
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