第一章 未必の故意

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「避けますよ、忠興さんですから。  今回だって、反射的に避けてたと思いますよ。志免くんが居なくても」 「それはそうだけど」  珍しく立てたはずの手柄をなかったことにされて、加奈さぁん、と志免は寂しげな声を上げた。  仕方ないですね、と壱子は腰に手をやり、厭そうに言う。 「所長がそんなに不安なら―  調べましょう、花巻建設を」  天井を見上げ、あんまり係わり合いになりたくなかったんですけどねえ、と呟く壱子に、加奈が手を合わせていた。
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