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忠興は振り返らずに言った。
「ああ、お前は確か― 新免」
「志免です」
そうか、と特に謝るでもなく、忠興はそのままバイクを押していく。
この人もなんだかなあ。
独特なテンポだよな。
っていうか、いつから日本に?
と思いながら、未だ小走りに付いていく。
忠興はただ、大股に歩いているだけなのだが。
哀しいかな、足の長さの違いだろうか―
「あのっ」
とあまり相手にされてないようだが、めげずに志免は話しかける。
「事務所に行かれるとこなんですか? 僕も今から行くんですけどっ」
「いや」
「え。いやって……」
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