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忠興は答えない。雨のせいではなく、寡黙な人なのだろうか。
「行かないんですか?
あ、もしかして、内藤さんが居るからですか?
じゃあ、後で加奈さんと会われるんですね」
「―いや、しばらく加奈には会わない」
志免は足を止めそうになった。だが、止めてしまっては置いていかれることは確実だった。
「どうしてですか!?
あんまり日本にはいらっしゃらないんでしょう?
会わないで帰っちゃったら、加奈さんが寂しがるじゃないですか。
加奈さん、今、忠興さんが日本に居ること、知ってるんですか?」
ようやく口を開いた忠興は、溜息をついて言った。
「よくしゃべるな、お前」
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