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「お早うございます…きちんと眠れましたか」
どんよりとした窓ガラスの外を眺め…
…感情も余り無さそうな声で。
表情からも全っ然、読み取れなくて。
……何でこんなのを好きになってしまったんだろう…。
「…兎希様…?」
「何…起きてるよ」
ぶっきらぼうに返事をしてみる…けど相手の対応はいつも通りで。
僕は『ウサギの国』の次期、王者。
名前は「トキ」
兎の希望…って意味らしいけど。
…で、僕の目の前に居る奴は
執事で…「ロウ」
オオカミの種族だから…か、どうかは知らないけど…字は狼。
「兎希様…お着替えはどのように致しますか」
「狼が決めてよ…僕に似合いそうなやつ」
不機嫌そうに狼を見て…そう言い放つ。
…ホントは…そんなの、どうだっていい
ただ…一瞬でも、一秒でも…僕の事を考えて欲しくて……。
「でしたら、こちら等如何ですか…」
そう言いながら…狼が真新しい服を手に僕の所へ歩いてくる。
…それだけでも意識してしまうのに…
「着せてよ…狼」
……素直には、なれなくて。
「…解りました…」
膝立ちになって、僕の服に手を……
鼓動が…ウルサイ…。
「っ…///」
鼓動に合わせて顔まで…
何かの表現でよく有るみたいに…口から何かが飛び出しそうだ。
「…兎希様……意識なさっているのですか…?」
「なっ…し、してない…///」
…なのに、狼は冷静で。
堪えようと思っても、既に鼓動も限界で。
「ですが、乳首が…た…」
「~…うるさいっ…お前の手になんか意識してないっ!!///」
…僕は夢中で部屋を飛び出した。
…素直には、なれそうも無くて。
降りしきる雨の中…
火照る体と…このまま消えてしまえたら……
……なんて
望みは…叶いそうもない
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