『ウサギ狩りに行きませんか』:初

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何なんだよ…。 あれからもう何十分か経ってるのに 狼が追ってくる気配は全くと言って良い程に無い。 …風邪引くだろうなぁ。 雨でびしょ濡れになった体は、さっきまでの熱が嘘の様に冷えきっていて。 従者のくせに。 執事のくせに。 ……主を放って置いて良いのかよ…。 『従者は主の意思を尊重するまでです』 …何時だったかの、言葉。 所詮は従者。 ―…雨のせいか 暗い気分にしかなれない ―…嫌な考えしか、浮かばなくて。 ―…悲しい言葉しか、浮かばなくて。 …そうしたら何故だか無性に泣けてきて。 雨と混じっては頬を伝っていく水を、どうしようも出来なくて。 空を見上げたら額にへばり付いた髪に気付いて…頬を拭おうとしてた手すらも、僕の心すらも… 既にびしょ濡れで。 …どうしたら 救われますか。 びしょ濡れになった筈の僕の心と目頭だけが、焦れた様に熱くなって。 ……涙を流す事しか出来ないのだろうか。 空だって、泣く…―雨を降らせる―…だけでは無いのに。 何故か頭の端からぼーっとしてきた… …視界は元々ぼやけてたけど。 …―このまま、死ぬのかなぁ―… もう、良いや。 救われないのなら 掬われないのなら どん底まで落ちてしまおう。 雨粒のように、どこまでも…― 、
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