『ウサギ狩りに行きませんか』:初

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…暫くして目が醒めた。 へばり付いてた髪も、頬を拭おうとしてた手も…目から溢れてた雫も。 僕の心の中とは裏腹に全部渇いてる。 ただ、此処は何処だろう 見覚えの無い天井。 見覚えの無い家具。 木製の古そうな家具に木目の天井…。 見覚えの…全く無いざらざらした布で出来ている布団…? ―…何処だろう? キョロキョロと辺りを見回してみると厚く閉まっている布から光が漏れている と同時に扉の開く音がした。 見ると大工を模したような独特な服を着た男がふて腐れたような顔でこっちを見てる。 『…あぁ…起きてんだ』 「…誰…?」 …返事が無い。 苛々してきて大声を出そうとしても全くと言って良い程声が出ない。 かろうじて出た、掠れた声でもう一度尋ねてみる 「貴方…誰…?」 「俺は…」 男は僅かに申し訳なさそうな声音で話し出す。 「誘拐者、だなっ」 …と。 いきなり軽快そうな声音でニカッと笑っている。 ―…誘拐…者? 「誰を?」 「誰って…アンタ以外に誰が居るよ」 そう言われ、辺りをもう一度見回してみる。 僕だけのようだ。 「……え…?」 ―…誘拐… 「ま…金要求したらすぐに帰してやっからさ」 それまでの辛抱だって、と付け足しながら扉を閉め…さっきと同じ笑いを見せる男。 ―…誘拐かぁ 狼は気にかけてくれるかな 僕の事を…少しでも。 ―…このまま誘拐されてたら、もしかしたら…― 、
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