一方…

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「んん…」 目を覚ますと体に暖かな布の様な、ものに包まれている感覚があった。 すぐさま自分の体を覆っているものを確認すべく視線を向けると、そこには毛布の様なものが俺を包んでいた。 ともかく状況を確認すべく、毛布を少しどけて、体を起こし。辺りに視線を向けた。 そこには木材で造られたであろう壁に4面囲まれていた。 毛布を完全にどけ、体を起こし、壁の間のガラス張りの窓らしきものに近づき外を見渡した。 そこには他に家や建築物らしきものは見当らなかった。 「おやぁ…お目覚めですか。」 ふと後ろから渋い低めの声が聞こえた。 振り向いてみるとそこには見た目年齢40歳はあるであろう風体の小柄の男性がそこに立っていた。 「あの…塚のことをうかがいますが…ここはどこでしょうか。」 「ここは見ての通り私の家ですよぉ…なぁに心配なさるな。 とって食おうなんちゃ考えやしませんからぁ」 どこか癖のある口調の男性はそう言ってから「私の名前はノアです。」と綴った。 「ノア…ノアですか…。」 俺の困惑を感じとったのか何かを察したのかその男は 「残念ながら期待にはこたえられませんねぇ。私はごく普通の一般人ですよぉ。」と綴った。 「これは失礼しました。」 俺は慌てて詫びを入れるとノアと名乗る男は「いえ…ね…慣れてますから」と笑って応じた。 ノアはどうやらキッチンらしき所でカチャカチャとなにかしら用意しているようだった。 「…あの、ここはどこでしょうか。」 今度は検磨けた声でそう尋ねた。するとノアはこちらに近づき。 「貴方の事はよくご存知ですよ。何せ村一番の若者でしたからねぇ」 そう言いながら私に手に持っていたマグカップを渡してきた。 「ハーブティーです、旅の疲れもいえることでしょう。」 私は手に取りそれに口をつけた。 ハーブが体全体に漂いそういえばあまり水分をとってなかったことを思い出し気が付けば飲み干していた。 「はっはっはっ。よっぽど喉が乾いていたようですなぁ。 どれ、もう一杯いれてきましょう。」 そういうなり後ろに振り向いた。 「あの…貴方が私を知ってるって事は…私の村は近くにあるのですか。」 「…ええ、私は何せこの性格なもんで少し離れた所に家を建ててひっそりくらしていたのですよ。」
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