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そして少し経ち、人々は協会を出ていった。時間にしてみればおそらく30分程度の時間だったが、私にしてみればそれはなかなかにして長く感じられた。
皆がいなくなり、教会の中は私ひとりとなってしまっていた。
特に今日もやることもなく、只部屋中を箒で履いていた。
「おー今日も暇そうやな」
どこから聞いたことのある声がしてきた。
私は声の主をたどるように顔を上げて視点を合わせた、
そこにいたのは…シェルマンだった。
まぁ声と独特の喋り方からしておおよその予想は立ててあったが、見事的中してすこし優位な気持ちになった。
「いえ、教会は皆様の為でもあるところなので…私はそこを綺麗に保つのが使命ですから」
そういったものの内心はすこしばかり疲れていた。
司祭様は相変わらずと言っていいほど何かしら隠している。
だが関わらない方がいいのは一目瞭然であった為、私は今日も無駄に時計の針を進めるのだろうと考えた。
「おい、面白い話があるぜ。なんでもルズが魔物に襲われたらしい…なんでも厄介な奴にだそうだ。」
楽しげに訳の分からぬ事をシェルマンは語り始めた。
私は何故そんなことをお前が知ってるのだと心の中で呟きつつ
「それは…困りましたね。」
と返しておいた。シェルマンは見透かしていたのか
「本当の話だぜ。何故なら目撃者が俺なんだから」
少しばかり鼓動が早くなったが…落ち着いて考えて見ればこの村の掟で村から外に出てはならないというのがある。
ならばこの男の言っている事が洞話だという事は明白だろうと考えた。
シェルマンも同時に退屈なのだろうとも考えた。
ならば少しばかり時間を提供してやるのもシスターとしての役目だと考えに至った時にはシェルマンは既に姿がなかった。
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