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健一はメールに書いてある通りに、一本調子にならないよう、憎悪の表情で、辰夫の眼を睨んで言った。
「お前の言う通り、俺には、魔物のような凄い守護霊が付いている。お前を生かすも殺すもどうとも出来る。お前を瞬間に消してやろうか。良く聞け。麗子は俺の大事な女だ。麗子を風俗なんかで働かせてひどい目に合わせやがって。このひも野郎が。ぶっ殺してやりたいが、俺達の前から消えるのなら許してやる。俺たちの前から消えるか、この世から消えるか、どっちにしやがる」
辰夫は震えている。凄い力を見せ付けられて、健一の言うことを完全に信じている。
「許して下さい。すぐに消えられないんで、少し時間を下さい。お願いします」
スマホを見た。返答が表示された。
「ここから消えなくてもいいよ。俺達の前に姿を見せるな。麗子、行くぞ」
「何、勝手なことを言ってるの。私と辰夫さんは仲良くここで暮らしているの。風俗だって私の意志で働いてるんだから。突然やって来て、勝手なこと言わないで」
麗子が怒りを露にして、声を荒げて健一に言う。
健一はスマホに頼らず、健一の気持ちを優しく、諭すように言った。
「麗子、謝る。お前と別れて本当に後悔している。俺の所へ戻って来てくれ。なあ麗子。お前は風俗を凄く嫌ってたよな。違うか? 俺が付き合いで風俗行ったのがお前にばれて、不潔、別れるって言って、えらく怒ったじゃないか。こいつはそんな風俗でお前を働かさせたんだぞ。」
「勝手に私を捨てて、今更戻って来いなんて、勝手なこと言わないで。辰夫は私を愛してくれてるの。だから私も辰夫に尽くしたい。それだけ。もう帰って」
(ほら見ろ、完全に情が移っちゃてるじゃないか。どうするんだ)
健一は、未来の健一を恨めし気に見て、声を出さずに言った。
「どうするんだ」
何らかの返事を期待してスマホを見た
[口パクをしなくても、お前の思念は読める。俺と話したいことを心に思え]
(俺の心は見え見えってことか。嘘も付けないな。不公平だよ。どうして俺に、あんたの思念がそのまま伝わら無いんだ)
[お前の弱い霊波を俺は感知できる。お前は俺の霊波を感知出来ない。感度の違いだ]
(冥界の力か)
[麗子に、これからの悲惨な人生を見せるか]
(言ったって信じないだろう)
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