1章

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寿 沙織。 私の名前。 名前だけ見てると、とても恵まれた人に見えるかもしれないけれど。 こう見えて、4歳の時、私は両親を奪われた。火事でアパートは全焼。 生き残った私は、里親に出された。 しかし、その里親も、高校2年の時に会社が傾き、借金がかさんで夜逃げ同然で消えてしまった。私はというと、いつの間にか里親の戸籍から外されており、借金の肩代わりをすることはなかった。大学は諦めざるを得なかったけれど、こうして苗字はまた「寿」へと戻り、人生は再スタートした。 りりりりりりりりりりりりり!! 目覚ましがけたたましく鳴って、私は慌てて。そうしてベッドから落ちた。 髪をぼさぼさのまま、慌ててスーツを着る。
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