1章

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高校を卒業して半年。 私を置いて居なくなった里親の両親とはあれから、連絡はない。 借金から逃れさせるため、戸籍から私だけを除外してくれたのが、最後の愛情だったのだろう。 友達と別れ、両親とも別れ、私に残されたのは、このマンションの一室と、名前だけ。 歯を磨き、顔を洗う。 タオルで拭くと、私は洗面台の鏡を見つめた。 9月も終わり。 暑さも静まり、太陽の陽ざしが心地よくなった、この時期。 私は、部屋から出ると、自宅に鍵をかける。 その時、私は表札を見た。
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