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――― 「寿 沙織」。
何で、私はこんな名前なのだろうか。
その時、隣の部屋からドアを閉める音がして、私は振り向いた。
右側、お隣さんの船橋 みどりさん。
化粧の綺麗な中年女性。彼女は廊下に立つ私に気づいた。
ガチャリと鍵を閉めながら、私を見た。私はこのところ彼女にお世話になっている。
「あら、おはようさん、沙織ちゃん」
私は笑顔を向けてくれた彼女に笑顔を返した。
「おはようございます」
彼女は、どうやらゴミ袋を出しに出てきたよう。
「朝も涼しいなったね」
彼女はまた笑った。
「えぇ」
私はバッグを肩に掛け直す。
「ところで沙織ちゃん」
「はい…」
声のトーンを下げて、彼女は近づいてきた。神妙な面持ちになった彼女に、私は合わせる。
「そこ、沙織ちゃんの部屋のお隣さん」
「はい」
「えらい、変な人が入らはったんよ?」
「変な人…ですか?」
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