1章

5/6
前へ
/6ページ
次へ
『隣の、部屋に入った』とは、引っ越してきた、という意味である。 何だ、お隣さんか。 私は黙って聞いた。 「何や、変な風にしゃべらはる男の人でな?私も挨拶してんけど、ニタニタ笑いはるねん」 「はぁ…」 頷くと、彼女は首を振った。 「沙織ちゃんも、あんまり関わらんときや?近頃は変な人多いからなぁ。ほな…」 またね、とみどりさんは手を振ると、エレベーターに向かって廊下を行ってしまった。 「ニタニタ…って」 手を振り呟くと、私はお隣さん、という部屋の前に近づいた―――。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加