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────“私、甘かったわ。これが本当の終わりなのね”
高校二年のある春の日、私は“辛さ”というものを更新した。
内容は…言いたくない。
まさか、彼が私の友達と…あああ!言わないったら!!
と、とにかく!私は辛いの、どん底なの!!
そんな時、必ずすることがある。
携帯をカラッポにするのだ。
電話帳も、メールのやりとりも、画像も全部消すの。
そうするとね、気持ちがすーっとするのよ。
まあ、バックアップは取っておくんだけれど。
でも、今回のは…ちょっとキツい。
こんなことで、さっぱり出来る気がしないわ。
そんなふうに思いながらも、私は携帯を操作する。
“削除しますか?”“決定”
“削除しますか?”“決定”
…と、メールの受信ボックスに、一通のメールが残っていることに気付く。
鍵のアイコンが付いている。
消えないように“保護”してあるのだが、私にはまるで覚えがなかった。
送り主を見ると、そこにはよく知った名前があった。
「え…私から?」
もちろん、自分にメールを送った記憶などない。でも、アドレスも私のものだ。
やだ、イタズラ?
けれど、それならどうして大切に保護なんてしてあるのか、説明が付かない。
そこで、ふと彼の顔が浮かんだ。
ひょっとして、彼がこれを?
確かに、彼氏だったのだから、私の携帯を触ることも出来た。
きっとそうだわ!
そんな訳ないのに、私は勝手な希望に胸を躍らせてメールを開いた。
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