もつべきものは

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“すごい本が出たよ!あんたはコレ、絶対好き!” 「…なにこれ。」 あまりの期待外れに、そんな声が出た。 そして、自分の能天気さを呪った。 彼が私の元に帰って来ることなんて、あるはずないのに。 はあ…。 謎のメールを力なく見詰めて、ベッドに寝転がる。 それにしても、唐突な文面だな。 画面上では、私を名告る送り主がたいそう興奮している。 まずは添付した画像を見ろとあったので開いてみると、 聞いたこともない作家の、見たこともない本の表紙が写っていた。 送り主は、私にその本をすすめているのだ。 “きっとあなたの力になる”と。 本なんて滅多に読まないのに、なんだってこんなメールを。 でも、こんな時だからだろうか…気になった。
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