プロローグ

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私はあの頃ずっと家の外で泣いていた。 「うっひっく、うっ」 「...なな、」 「うっ、うっ。」 貴方はずっと黙って隣に座って、お日様が沈むのを見ていた。 それからいつも横を向くと「帰るよ」と手を引いてくれた。でもその日はいつもと違っていて、貴方の長いまつ毛と綺麗な頬に一筋の跡が光っているのがわかって、私はとても驚いた。 「りょ、う、ちゃ...」 「泣かないで、ななみ。 これからは僕がななのお父さんになるから。おばさんもななみも裕太も僕が守るから。」 そう言って、いつも通り私の手を引いた。 男の子なのに色が白くて、髪もさらさらで、ずっと羨んできた後ろ姿を見て、その日はとてもドキドキした。 悪の組織から隠れる為に2人で作った秘密基地に本物のヒーローが助けにきてくれたんだと思った。 ニコチアナ。
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