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大切な人に彼女ができた。
あの日した約束を涼ちゃんは覚えているだろうか。
「涼介、彼女できたって?」
「うん。」
「あんた、いいの?」
「い、いいも何も、涼ちゃんと私はもともともそんな仲じゃないよ。昔からお父さんってか、お兄ちゃんみたいなもんだから。同い年なのにね、ハハッ」
早口になる私をジッと見てあやちゃんは小さなため息をついた。
「それ、自分に言い聞かせてるだけに聞こえるよ。」
あやちゃんは何でもお見通しだ。だって小学校からの中なんだもん。よしよし、と頭を撫でられたからキュッと結んでいた唇から声が漏れた。
「う、うぅ、
あやちゃーん。うっひっ。」
こんなに悲しいと思わなかった。彼女が出来てもずっと面倒見てね、ってふざけて言ってたはずなのに。困った時はいつも助けてくれて、だから甘えっぱなしで、それでも見放さないでいてくれて「涼ちゃんの特別なんだ。」って思い上がってた。
バチがあたった。
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