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大切な子を裏切った。
あの日した約束をあの子は覚えているだろうか。
「お兄ちゃんみたい、だーいすき」
あいつはいつも無邪気な顔でそうやって言うんだ。
だから俺もそれに応えたくて、ずっと宝物みたいに扱ってきた。
あいつは小さい頃からどんくさくて、バカでのろまで要領悪くて、いつもヘラヘラ笑ってて
だけどたまに物凄く寂しそうな顔して...
まだ自分のせいで父親が死んだって思ってんだろーな...。
「ねぇ、聞いてる?」
「ん、あ、ごめん。」
「...また考え事?」
「いや。」
「いつも、誰のこと考えてるの?」
彼女は鋭い。彼女はたぶん、この先も俺の気持ちが自分にない事を知っている。そして俺は心底最低な奴だ。
『好きになってもらえるに、努力するから。お試しでいいの、1週間だけでも...』
そんな言葉を利用した。
うちでテスト勉しながらうたた寝したななみに思わずキスをして、その自己嫌悪と葛藤している時にちょうど良いタイミングで放たれた彼女の言葉を利用したんだ。
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