第1章 金髪ギャルがやってきた。

2/4
前へ
/4ページ
次へ
「ーー日比谷くん、付き合ってください」 頬を赤らめ、じっと僕を見つめる彼女。 彼女の名前は、楠 愛梨(くすのき あいり)。 栗色の長い髪に猫のような大きな瞳。 僕と愛梨は今日愛の言葉を交わし、恋人になった。 「よっしゃぁぁーー!!」 僕はガッツポーズをし、高らかと雄叫びをあげた。 「ーーうっさいわぁ!!」 バンっ!と大きな音と同時に僕の後頭部に何かが投げつけられる。 「いだっ!」 後ろを振り向くと、仁王立ちをした鬼・・・ではなく、姉貴。 日比谷 莉桜(ひびや りお)。 僕の3つ上の姉だ。 「またあんたはゲームなんかして!!ゲームばかりしてないで学校行きなさいよ!」 「・・・学校だと?学校なんてただの箱に過ぎない。僕はあんな箱に閉じ込められていい人間ではない」 俺はメガネをくいっと上にあげ、姉貴にドヤ顔をかました。 「黙れバカ、あんたがその気なら私も黙ってはいないわよ」 次の瞬間、姉貴は人間とは思えない動きで僕の手からPSTを奪い、半分にへし折った。 「あ、ぁあぁあぁあぁあぁあ!!なにすんだ!このゴリラぁ!!!」 「誰がゴリラだって?あぁ?」 悪魔のような笑みを浮かべながら僕の頭を片手でギリギリと押さえつける。 「いだいいたい!すみませんすみません!!」 「ふん。そもそもゲームの中の女の子に本気になるとかバカなの?」 「ゲームの中とか関係ない!僕と愛梨ちゃんは愛し合っていたんだ!!それを!それをー・・・」 姉貴はゴミでもみるような目で僕を見た。 そんな目で見るなよ。 「はぁ・・・あんたもう高3よ?いつまでそうやって引きこもるつもりなのよ。来年は社会人なの。いつまでもそうやっていられると思わないことね」 んなこと分かってる。 このままだとダメだということは。 だけど・・・。 「学校は行きたくない」 あんな悪魔の巣に僕は二度と行きたくないんだ。 もう二度と・・・。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加