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神父様は胸ポケットから老眼鏡を取り出し、それをつけてアルバムを覗き込んだ。
明仁くんが嬉しそうに、神父様の指差した写真を眺めている。
「あ! これは僕の大叔父です!」
「ええ。明仁くんは、大叔父様によく似てますよね。……いや、明仁くんだけじゃないですね、やっぱり光也くんも光雄さんにそっくりだ」
どうです? と、神父様は優しい笑顔で、俺にじいちゃんの昔の写真を指し示した。
白黒の、年月のせいで不鮮明になった写真は、この教会の前で撮られたようだった。
古めかしい格好の子供たちが、数人並んで写っている。坊主頭の男の子や、おかっぱ頭の女の子が何人か直立しており、そこから突出しているのがちょうど俺ぐらいの年の、光雄じいちゃんだった。
そのじいちゃんは、自分でも怖くなるぐらい、俺に生き写しだった。
「光也さん、おじい様の隣に写っているのが、僕の大叔父なんです」
明仁くんが、明るい笑顔で俺を振り返る。
彼はジンではないのに、彼の黒目がちな瞳もまた、俺を強く惹きつけた。
もう一度、古い写真に目を落とす。
「明仁くんとよく似ているでしょう? これからすぐに亡くなられたんだから……随分早く天に召されてしまったんですね……」
俺にそっくりなじいちゃんの隣で微笑む、明仁くんにそっくりな若い神父。
彼は、俺が仏壇で見つけた古い十字架と、同じものを提げていた。
「こちらが先代の、仁(じん)神父です」
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