マジック02 恋の十字架

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 ジンはきっと、俺をからかう言葉をなにか探していた。けれどそれは叶わず、目元を濡らしながら両腕を伸ばし、俺を抱き寄せた。  俺は悲しそうなジンを見たくなくて、忙しなくキスしていった。紅い唇に、細い首筋に、滑らかな胸元に――。  俺を誘う、下半身に。 「あぁ……、光也……」  ジンの甘い声が耳に届くたび、俺は突き動かされて下手な愛撫を懸命に与えた。切なさと愛しさがない交ぜになり、俺の愛撫は拙い上に乱暴だった。 「み、つや……。んぁ……」  それでもジンは吐息を漏らし、切なげに体を捩らせた。  ジンに煽られ、欲望を高められ、俺はめちゃくちゃにジンを抱いた。  俺はじいちゃんじゃないんだ。  そう思いながら、それを口にすることは出来ず、もどかしさとやるせなさで頭がおかしくなりそうだった。  ジンが欲しくて――。  欲しくてたまらなかった。    俺が欲しかったのは、ジンだ。  誰の代わりでもない、ジンが欲しかった。  これは恋。  これが恋なんだと気づいたのは、とっくに空が白み始めた東雲の頃、眠りに落ちた瞬間だった。
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