916人が本棚に入れています
本棚に追加
〇〇三 ひろの訃報
明治五年五月(一八七二年)
日野の彦五郎さんの道場で出稽古を済ませて、明朝帰れるよう、支度をしていた
「よおっ!!
ちょいとごめんよ!」
「こんにちは、上がらせてもらうよ!
あっ、為兄ぃ!
ここ、段差んなってっから、気ぃつけろよ」
「おうっ!」
鉄ちゃんいるかい?」
「やぁ、いらっしゃい!!
婆ちゃんと叔父さん達、揃ってどうしたんだい?
鉄ちゃんなら、沖・・・藤原先生と一緒に道場にいるはずだよ」
「先生も居るんなら丁度いいや!
んじゃ、勝手に行くから、案内はいいよ!」
「ああ、邪魔するよっ!
そうだ!
のぶと彦五郎さんも一緒に来てもらっとくれよ」
「何々?
なんかいい事かい?
すぐ呼んでくるよ!
父ちゃ・・・親父~!
お袋~っ!!」
玄関から賑やかな集団と、それを迎える源之助君の声がした
ふふっ
僕の側で木刀を拭いていた鉄が腰を上げて、声を聞いて座布団を一、二と数えながら並べる
土方さんの兄上達だ!
最初のコメントを投稿しよう!