〇〇三 ひろの訃報

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〇〇三 ひろの訃報

明治五年五月(一八七二年) 日野の彦五郎さんの道場で出稽古を済ませて、明朝帰れるよう、支度をしていた 「よおっ!! ちょいとごめんよ!」 「こんにちは、上がらせてもらうよ! あっ、(ため)兄ぃ! ここ、段差んなってっから、気ぃつけろよ」 「おうっ!」 鉄ちゃんいるかい?」 「やぁ、いらっしゃい!! 婆ちゃんと叔父さん達、揃ってどうしたんだい? 鉄ちゃんなら、沖・・・藤原先生と一緒に道場にいるはずだよ」 「先生も居るんなら丁度いいや! んじゃ、勝手に行くから、案内はいいよ!」 「ああ、邪魔するよっ! そうだ! のぶと彦五郎さんも一緒に来てもらっとくれよ」 「何々? なんかいい事かい? すぐ呼んでくるよ! 父ちゃ・・・親父~! お袋~っ!!」 玄関から賑やかな集団と、それを迎える源之助君の声がした ふふっ 僕の側で木刀を拭いていた鉄が腰を上げて、声を聞いて座布団を一、二と数えながら並べる 土方さんの兄上達だ!
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