〇〇一 ひろさんへ

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〇〇一 ひろさんへ

***藤原(沖田)side 明治五年二月(一八七二年) ひろさんと土方さんが、うっかりメリケンに渡ってから二回年を越した って言うか、メリケンになんて、普通『うっかり』行けないよね 今は、欧州を経由して清国に抜ける道を探しながら日の本に帰りつつあるそうだけどさ やっぱり、ぶっ飛んだ人・・・いや、人達だ! なんて事を思い出し、笑ってしまう 去年の末、久しぶりにひろさんから来た手紙によると、今は仏蘭西からトルコという国へ向かう途中なんだそうだ 仏蘭西もトルコも欧州の方にあるのは知ってるけど、ちゃんとは知らないんだよね ま、いろんな国を巡って帰ってくるなら、次に会った時、面白い話が沢山聞けそうだな 僕も返事を書きたいけど、この手紙が書かれたのって去年の九月でしょ? じゃ、今、仏蘭西に手紙を出しても、向こうに着くころには、ひろさん達が移動してるかもしれない だから、ひろさんがいるはずの西の空を見て、心の中でひろさんに話しかけるんだ
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