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「……何しに来たんだよアイツ……」
はぁ、と盛大なため息を吐きながらベンチに深く座り直す。
もちろん、サラを起こさないように静かに。
チラリとサラの様子を窺ってみても起きる気配は無し。
あのな。
オレ以外の男の前でそれ、すんなよ?
って言ったところで意味がわからないって顔するだけだろうから飲み込むことにする。
今だってオレ、必死なんだ。
……何に、だって?
自分抑えるのにだよ!!
何と表現したらいいのかわからない複雑な感情が渦巻いて、もやもやする。だけど、サラを膝から降ろしてしまえという考えは一切浮かばない。
「こんな無防備な顔、オレ以外に見せんじゃねえよ……」
ボソリと呟きを落としたと同時に、強烈な睡魔が襲いかかってきた。
何度か耐えようと試みるも、ガクリガクリと首が揺れいつしか意識が飛んでいた。
最後に脳裏を過ぎったのは、サラの寝顔を見たシンをどうやって亡き者にするかの算段。シン許すまじ。
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