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数日後。
未来の葉山からこんな予知メールがタキオンへ届いた。
『送信者:ko-hayama⑧tachyon.ne.jp
件名:8年前の俺へ
本文:前略。元気で暮らしているだろうか。
俺の近況を報告する。
お前はタキオンの文面の検閲機関設立の必要性を訴えた。
検閲対象は不必要に受信者の未来の可能性を奪ってしまう可能性のあるメールだ。そう、ちょうど未来の俺がお前に送り続けたようなネガティブなメールのことだな。
そういったメールが必要以上に送られることのないように全世界線に文面のチェック機関を作るべきだという主張をしたんだ。
天文学的な数に上るであろう予知メールの数々。それを効率的にチェックするシステムの構築でお前は一躍有名になるんだ。
そしてついに政府のお抱えエンジニアとして登用されるんだ。
8年後の今日、たった今な。
――大丈夫。8年後の俺は幸せだよ。
辛かったけど、自殺を思い留まってよかった。辛かったからこそ、今の俺があると思う。
会ったこともない未来人達、きっと今は存在すらしていないかもしれない未来人達に感謝だな。
今まで通り、常に他人への思いやりを忘れないように。
そうすればきっと辛い時でも誰かがお前を助けてくれるはずさ』
この世界線の葉山から、まだ不幸を予知するメールは来ていない。
きっと来ないんだろう。
どこか確信めいたものを感じた。
この葉山は、それこそ無限の可能性の中から正解を選び取ったのかもしれない。
Fin.
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