そして、あの日に戻ったら……

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私の口から出たのは、心なんて全くこもってない口先だけの言葉。 ナルシストな彼は、自分の頭髪が薄くて頭皮が見えている事を認めない。 ……彼と結婚して16年。 デートの時に「手を繋ぎたいと思わない?」と差し出された彼の手に、「うん、分かった!」とイチオクターブ高い可愛い声を出した私は、自分の手をそっと添えた。 思いっきり、飛びっきりの笑顔で彼に応える。 (これで狸親父旦那との未来は消える! 私の求めていた未来が私の手に入る!) その時の私の気持ちはワクワクドキドキで、輝く未来を手にした瞬間だと信じていた。
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